STAP細胞の話題
最近世間を騒がせている、STAP細胞に関して、多くの疑問が湧いてきました。
本当に小保方さんが、世間で言われるような不正を行ったのでしょうか?
STAP研究の過程を、理化学研究所の「CDB 自己点検の検証について平成26 年6 月10 日CDB 自己点検検証委員会」より転載します。
(2)小保方氏の若山研究室における研究の経緯
- 2008 年、小保方氏は、ハーバード大学C.バカンティ研究室において、細胞にストレスを与えると多能性を再獲得(初期化)するという仮説の検証に関する研究を開始した。
- 2011 年4 月より若山研究室の客員として在籍していた小保方氏は、様々なストレス処理の中から酸処理がSTAP 細胞作製に効果的であることを見いだした。そして、2011 年11 月、小保方氏が誘導したSTAP 細胞を元に、若山氏がキメラマウスの作製とSTAP 幹細胞の樹立に成功した。
- 小保方氏、若山氏及びC.バカンティ氏は、これらの結果をまとめた論文を作成し、2012 年4 月にネイチャー誌に投稿したが、不採択となった。
- 2012 年4 月24 日、C.バカンティ氏、小保方氏らを発明者とし、ハーバード大学が中心となって米国特許仮出願を行った。その結果、1 年以内に本出願をする必要性が生じた。
- 2012 年3 月12 日、西川伸一GD より小保方氏にT 細胞受容体(TCR)遺伝子再構成の解析に関するアドバイスがあった。
- 2012 年4 月27 日、小保方氏は神戸研究所(2013 年4 月から神戸事業所)研究倫理第一委員会においてSTAP 現象に関する説明を行い、その研究内容は、同委員会の内部委員であった松崎文雄GD 及びオブザーバーの竹市センター長の知るところとなった。なお、西川GD も内部委員であったが、既にSTAP 現象を認識していた(上記⑤)。その際、小保方氏はSTAP 細胞をiPS 細胞と比較し、その優位性に言及した。
- 2012 年6 月6 日にセル誌へ投稿し不採択となった原稿には切り貼りのなされた
TCR 再構成データが含まれており、この一部が2013 年3 月10 日投稿のネイチャ
ー誌アーティクル論文の切り貼りされたTCR 再構成のデータとして使われている。
このころ、小保方氏は、若山氏の支援を受けてSTAP 細胞から胎盤形成に寄与す
る幹細胞を樹立する研究に取り組んだ。
(3)小保方氏のCDB のPI 応募時から論文投稿時までの経緯
- 2012 年10 月、CDB において新PI の公募が開始された。この公募には47 名が応
募し、その中から11 名を選び、面接セミナーを行い、最終的に5 名を新PI とし採用した。 - 公募では、特に幹細胞研究者の採用を掲げていたことから、11 月14 日のGD 会議後の公募人事に関する非公式な打合せの中で小保方氏の名前が挙がり、人事委
員会での打合せを踏まえて西川GD が小保方氏に応募の可能性をメールで問い合
わせることとなった。 - 2012 年12 月21 日、人事委員会は、小保方氏の面接セミナーを行い、RUL として竹市センター長が理事長に推薦することを内定した。人事委員会は、STAP 研究は秘密性が高いと判断し、PI の候補者に対して通常行っている公開セミナーを開催しなかった。また、笹井GD は、この時初めて小保方氏の研究を知ることとなり、竹市センター長の依頼を受けて論文の作成を支援することとなった。
- サイエンス誌に投稿し2012 年8 月21 日に不採択となった原稿を小保方氏が改訂
していたもの(12 月11 日バージョン)を参考に、笹井GD はネイチャー誌アーティクル論文の執筆指導を行い、小保方氏と共同でたたき台を12 月28 日に完成させた。小保方氏は、翌2013 年1 月上旬にハーバード大学を訪問し、C.バカンティ氏と論文原稿を検討した。C.バカンティ氏は、笹井GD にメールで謝意を伝えるとともに、この論文の共著者として加わることを要請した。 - 笹井GD は、引き続き小保方氏とともに第2 の論文(ネイチャー誌レター論文)の執筆を進めた。この論文は、CDB の若山研究室で着想され、若山氏の支援を受けて小保方氏が解析し取りまとめたデータを基に作成されており、STAP 細胞が胎盤形成にも寄与すること、STAP 幹細胞の樹立(最終段階でアーティクル論文に編入)、胎盤形成に寄与する幹細胞(FI Stem Cell) の樹立を主要な内容としていた。この論文の執筆によりSTAP 細胞研究における若山研究室のクレジット及びCDB の貢献が明確となった。
- 2013 年3 月1 日、小保方氏がRUL に着任した。小保方研究室の工事が同年10月末に完了するまで、小保方氏は主に笹井研究室のスペースで研究を続けた。小
保方研究室に専任のスタッフが配属されたのは2014 年1 月からである。 - 2013 年3 月10 日、小保方RUL を筆頭著者とする2 編の論文がネイチャー誌に投
稿された。 - 2013 年3 月31 日、2012 年3 月末に山梨大学に転出し、その後2012 年度末まで
CDB の非常勤チームリーダー(TL)を務めていた若山氏の非常勤TL の任期が終
了した。若山氏の実験室は山梨大学に移った。 - 2013 年4 月24 日、米国特許庁に国際出願した。この出願書類には、上記⑤の投
稿論文からのデータが追加された。本特許は、笹井GD を発明者に加えて、2013
年10 月31 日に公開された(特許書類WO 2013/163296)。なお、当初は、ハーバード大学が中心になって2012 年4 月24 日に仮出願していた特許とは別に、上記⑤のデータを基にCDB を中心とする特許出願も考慮されていたが、ハーバード大学と理研の知財担当者とが交渉し、一つの特許として米国特許庁に国際出願した。
(4)論文の著者リストについて
- アーティクル論文に含める著者については、C.バカンティ氏の強い意向で決まり、小保方氏及びC.バカンティ氏が責任著者となった。
- レター論文の著者については、研究が若山研究室で行われたことから、責任著者
は、投稿時には小保方RUL と若山氏の2 名であった。しかし、論文執筆や追加実
験における笹井GD の貢献度が高いことから、論文改訂時に笹井GD が3 人目の
責任著者に加わることとなった。 - 丹羽仁史プロジェクトリーダー(PL)は、C.バカンティ氏、小保方RUL、若山氏及び笹井GD からの要請があり、アーティクル論文及びレター論文の著者に加わった。
- 二度の論文改訂の過程で共同研究に参加したCDB の研究者(電子顕微鏡解析室
の米村重信室長、ゲノム資源解析ユニットの2 名)がレター論文の著者として加わることになった。
(5)T細胞受容体(TCR)遺伝子再構成実験に関する経緯
- 2012 年の3 月に西川GD のアドバイスをけた小保方氏は、2012 年中ごろ、STAP
細胞を含む細胞の塊及び一部のSTAP 幹細胞にTCR 遺伝子再構成(Tリンパ球で
のみ生ずるDNA の変化)が起こったとするデータを若山研究室内で報告していた。 - しかし、後に小保方氏が継代培養を繰り返していた8 系統のSTAP 幹細胞のTCR
遺伝子の再構成を解析したところ、再構成は確認されなかった。 - 2013 年1 月に丹羽PL が論文作成に加わった際、最初にTCR 遺伝子再構成に関
して質問し、上記②の回答を得た。この時点で小保方氏、丹羽PL 及び既に上記事実を認識していた笹井GD は①、②に述べた結果を共有することとなった。 - このことから、丹羽PL は笹井GD に対し、TCR 遺伝子再構成に関するデータを論文に含めることについて慎重な意見を伝えた。
- 上記②の結果について、笹井GD らは、STAP 幹細胞はヘテロな細胞集団であり、長期的な継代培養により再構成が起こっていた細胞が消失したという解釈を採った。なお、アーティクル論文には、STAP 細胞を含む細胞の塊のTCR 遺伝子再構成については記載されたが、STAP 幹細胞のTCR 遺伝子再構成実験の結果については記載されなかった。
- 2014 年3 月5 日に報告したネイチャー・プロトコール・エクスチェンジ誌では、笹井GD の意向で8 系統のSTAP 幹細胞にはTCR 遺伝子再構成が認められないという結果が記載された。
(6)STAP現象の再現性に関するこれまでの経緯
- 若山研究室において作製されたキメラマウス、樹立されたSTAP 幹細胞は全て小
保方氏が提供したSTAP 細胞から作製されたものである。なお、2011 年11 月にキメラマウスの作製とSTAP 幹細胞の樹立に成功し、それ以後は効率よくキメラマウスが作製されていた。 - 2011 年度末、若山氏は小保方氏からSTAP 細胞の作製法を伝授され、STAP 幹細
胞の作製に成功した。一方、若山研究室の室員が小保方氏に習いながら再現を試
みた際には、いわゆる緑色の細胞塊(Oct3/4-GFP レポーターを発現する細胞塊)は形成されたが、STAP 幹細胞の作製には失敗した。 - 若山氏は2013 年3 月に山梨大学に実験室を移してからもSTAP 細胞の作製を試
みたが、全て失敗した。 - 2013 年1 月~3 月、笹井研究室では小保方RUL がSTAP 細胞の作製過程をライ
ブイメージングで観察し、その画像を笹井GD が確認した。また、笹井研究室の室員が、論文投稿前に小保方氏が作製したSTAP 細胞がin vitro で三胚葉系細胞に
分化することを確認した。 - これまでのところ、CDB 内部において小保方氏が全く関与しない状況でSTAP 細胞の作製(体細胞を酸性溶液に浸して初期化を誘導し、万能性を獲得させること)に成功した例は確認されていない。
次からは、各項目毎に疑問点を指摘していきます。